残された意識 2

・・・続き・・・

 

 

A氏 「おまえ、あの事を言いなさい・・・。」

 

 

奥さんは何年もの間、夜中に悪夢を見る癖がついていた。
夢はいつも、幼少時の生家での、暗い一部屋から物語が始まった。

奥さんが、小学校に上がる前の年頃だろうか。
祖父母が登場し、その時々で色々な出来事が繰り広げられた・・・。

 

 

後半は、お母さんの存在に気が付き、底知れない悲しみが、

闇と共に少女に覆いかぶさってくるのだ。

 

 

その瞬間、お母さんはもういない・・・、その事を実感し、

自殺にまで追い込まれたお母さんの気持ちを理解できなかった自分への後悔の念と同時に、

 

 

お母さんに生きていて欲しかった、、、という思いが、複雑に絡みあって、

気が付けば大声で

 

 

「お母さぁ~ん!!」

 

 

と叫び、興奮状態で目覚め、泣きわめき、

暴れては、旦那さんにお世話になってきたらしい・・・。

 

 

実は、お母さんは精神を病み、病院に入院していた。
お母さんと、娘である奥さんの関係は、

仲睦まじいと言えるものではなかったようだ。

 

複雑な環境の為か、お母さんに対しても手厳しくなっていた事もあった。

私が感じ取ったモノは、どうやらお母さんの意識体だったようだ。

 

 

「どうして、誰も私の事を理解してくれないの・・・?」

 

 

と、伝わってきたのは、

精神を病み、自分の想いを理解されずに病院に入っていた彼女の残された意識だったのだろうか・・・。

 

 

 

ぼんやりと見えていた景色を伝えると、もしかすると「江の島」ではないか、

という話になった。

(江の島)

 

 

お母さんにとって、江の島は特別な場所であったようだ。
亡くなる当日、入院先から一時帰宅していた時、再び戻るのを嫌がるお母さんに、

 

 

「明日は私が病院に送っていくから・・・。」

 

 

と奥さんは言った。
そして、そのまま幼い頃の思い出の場所、江の島の海で帰らぬ人となった・・・。

 

 

奥さんは、お母さんへの最後の一言に長い間、負い目を感じていたという。

しかし、私が感じたのは、意識が奥さんの体内に残ってはいたが、

決して娘を恨んでいるというのとは違っていた。

 

 

本当は娘を案じ、理解し合いたかったという、少し悲しげな想いのようであった。
それは間違ってはいなかった。

 

 

今年に入って、奥さんが従姉から聞かされた話があったという。

 

 

お母さんは娘である奥さんと一緒に買い物をしたりと、

仲睦ましい関係を望んでいたのだけれど、

それが上手くいかず、母娘の理想の関係を、

その従姉とのつながりに託していたという・・・。

不思議なもので治療後、奥さんは夜中にうなされて起きる事は無くなったそうだ。
時々、お母さんが夢に出てくる事はあるそうだが、

今は必ず奥さんの娘も一緒に出てくるようになった。

 

 

個人的に体を診ていて、小学生の中学年以下で培われた意識というのは、

生涯の基盤になる考え方に大きく影響を与えている様に感じる。

 

 

潜在意識の奥深くに入り込みやすい時期で、トラウマ等が残りやすいが、

逆に安心感・安堵感などを育みながら幼少期を過ごすと、

大人になっても道を逸らすことなく、困難にもめげずに向かって行くように思える。

 

 

しかし、今現在、過去の思い出に縛られている場合はどうしたら良いのだろうか?
過去に縛られると、あれをしておけば良かった、これをしなきゃ良かったと、

 

 

キリがない事だけが繰り広げられてはいないだろうか?

 

 

では、過去が変えられないならどうしたら良いのか?
それは、「今」を幸せにすることだ!!

 

 

過去ではなく、今、今、今・・・。

 

今に焦点を合わせることが大切。

 

 

過去はとりあえずわきに置いておきましょう。
今が幸せだと、過去の出来事に感謝が湧いてくる。

 

 

「あ~、あんな事があったから、こんな風に考えられるようになったんだ~」

 

 

と、いう風になる。

 

 

要は、考え方一つで、過去も今も未来も変えられるということなんでしょう。
とは、いうものの、悩むのもまた人生の一部の物語です。

 

 

しっかり悩んで、悩める自分と環境を見つめ、自分の中を幸せな感情で一杯にしよう。
いつかは自分の人生の物語を終え、次の世界に胸を張って飛び立てるように・・・。

 

 

※このブログを作るに当たり、A氏夫妻の許可・御協力に感謝します。

 

 

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